【よみがえる、お気に入りのボタンと秋のケープ】

【よみがえる、お気に入りのボタンと秋のケープ】

今回、セミオーダーでお仕立てするのは、当店でも人気のケープデザイン

元々このケープの形を気に入ってくださっていたお客様。

けれど、「どんな生地で仕立てるのがいいかしら?」というご相談から始まりました。

たとえば——

・秋の初め、軽やかに羽織れるような仕立てにするか?

・それとも、冬のはじまりまで着られるしっかりした素材にするか?

というように、「どんなシーンで着たいか」によって、素材選びは大きく変わってきます。

そんな中、店頭でご紹介していた新作生地の中から、「これはこの方にお似合いになりそう…!」と思える生地が見つかりました。

それが、今回のベージュのコットンギャバジンです。

軽やかさと程よいハリ感があり、ケープのラインを美しく保ってくれる理想的な素材。

この生地をご覧いただいたときに、「この生地で、ケープを仕立てようかしら」と、お話が一気に進みました。

裏地には、グレーとブルーネイビーのチェックをセレクト。

落ち着いた色味でありながら、ちらりと覗くときに個性も光る――

そんな絶妙なバランスのある裏地です。

そして、なにより素敵だったのは「ボタン」。

お客様が20年以上前から大切に保管されていた、お気に入りのボタンがちょうど必要な数だけ見つかり、今回のケープにぴったりとハマりました。

その瞬間、このケープが**「ご自身だけの一着」**として完成したように思えました。

ケープのデザインについて

このケープのシルエットは、ただの“羽織もの”ではありません。

・前身頃には緩やかなカーブの切り替えを入れて、体に沿う立体的な構造

・肩に自然に馴染み、直線的に見えがちなケープにやわらかな丸みをプラス

・裾にも前後差をつけることで、重たく見えず動きが出るデザインに

・後ろ姿もすっきり美しく見えるよう、切り替えのバランスにもこだわりました

今までこのデザインでは、主に厚手のコート素材でお仕立てしていましたが、今回は初めての「薄手生地バージョン」。

どんな表情に仕上がるのか、私自身もとても楽しみにしています。

セミオーダーの魅力って?

今回のように、

・日常でどんなふうに着たいか

・いつ着る服なのか

・どんな気分で羽織りたいのか

そんな「お客様の物語」とともに、素材や裏地、パーツを一緒に選びながら、

ご自身だけの一着が少しずつ形になっていきます。

すでにお持ちの“お気に入りのボタン”が生きる一着にできるのも、セミオーダーならではの楽しさ。

「お洋服に、物語を添える」

そんな感覚でお仕立てするのが、maison de N のセミオーダーです。